金投資を検討する際、避けて通れないのが手数料の問題です。特に日本最大手の田中貴金属工業は、その信頼性の高さから多くの投資家に選ばれていますが、「結局、手数料でいくら引かれるのか?」という点は複雑で見えにくい部分があります。
本記事では、2026年現在の市場状況を踏まえ、購入時・売却時、そして純金積立のケースに分けて、実質的なコストを徹底的に試算します。資産を守るための知識として、ぜひお役立てください。
1. 田中貴金属で金を買う・売る際にかかる「3つのコスト」
金取引における「コスト」は、表面上の手数料だけではありません。以下の3つの要素を合計したものが、あなたの手元から「引かれる金額」の正体です。
- ① 売買手数料(バー指定手数料): 500g未満の地金(ゴールドバー)を売買する際に発生する実費です。以前は「バーチャージ」と呼ばれていたものです。
- ② スプレッド(価格差): これが最大のコストです。田中貴金属が提示する「店頭小売価格」と「店頭買取価格」の間には差があります。買った瞬間に、この差額分だけ価値がマイナスからスタートすることになります。
- ③ 積立手数料: 純金積立(積立購入)を利用する場合、毎月の購入金額に応じて一定の割合で差し引かれる手数料です。
2. 【購入時】いくら払う?ケース別シミュレーション
購入時のコストは、一度に「何グラム買うか」で劇的に変わります。ここでは、金価格が1gあたり13,000円(税込)と仮定して試算します。
ケースA:500g以上の大型バーを買う場合
500g以上の取引では、バー指定手数料が無料となります。
- 購入代金:13,000円 × 500g = 6,500,000円
- 手数料:0円
- 合計支払額:6,500,000円
この場合、純粋に日次の金小売価格のみを支払うことになります。
ケースB:100gの小型バーを買う場合
500g未満の地金には、以下の表に基づいた手数料が加算されます。
| 地金の重量 | バー指定手数料(税込) |
|---|---|
| 500g以上 | 無料 |
| 100g | 16,500円 |
| 50g | 8,800円 |
100g購入時の試算:
購入代金(1,300,000円) + 手数料(16,500円) = 1,316,500円
1gあたりの実質単価:13,165円(相場より165円高い)
3. 【売却時】いくら手元に残る?ケース別試算
売却時も同様に、重量によって手数料が変動します。ここでは買取価格を1gあたり12,600円(税込)と仮定します。
500g以上を一度に売る場合
売却時の手数料も、合計重量が500g以上であれば無料です。
- 売却代金:12,600円 × 500g = 6,300,000円
- 手元に残る金額:6,300,000円
少量(例:20g)を売る場合
少量の売却には「売却手数料」が発生します。
- 買取額:12,600円 × 20g = 252,000円
- 売却手数料:2,200円(50g未満の標準的な手数料)
- 手元に残る金額:249,800円
4. 【純金積立】毎月の手数料と「引き出し」の落とし穴
田中貴金属の純金積立は、少額から始められる一方で、購入のたびに手数料が発生します。
| 毎月の積立金額 | 購入手数料(税込) |
|---|---|
| 3,000円 〜 29,000円 | 1,000円につき28円(2.8%) |
| 30,000円 〜 49,000円 | 1,000円につき23円(2.3%) |
| 50,000円以上 | 1,000円につき18円(1.8%) |
注意すべき点:
積立で貯まった金を「地金」として手元に引き出す際には、別途「引出手数料(1件2,200円〜)」と、前述の「バー指定手数料」がかかります。これらを計算に入れないと、想定外のコストを支払うことになります。
5. 結局、手数料を最小限に抑える「賢い買い方・売り方」
試算の結果、田中貴金属で効率的に金を運用するための方策は以下の3点に集約されます。
- 500g単位で取引する: これが最も確実なコスト削減策です。500g以上であれば購入・売却ともに手数料が無料になり、純粋に「価格差(スプレッド)」のみがコストとなります。
- 店頭ではなく「総合口座」を活用する: 田中貴金属 総合口座(ネット取引)を利用することで、店頭に足を運ぶ手間とコストを削減できます。
- スプレッド以上の値上がりを待つ: 田中貴金属の価格差は約400円/g(税込)程度です。購入した時よりも1gあたり500円〜600円以上の値上がりを確認してから売却すれば、手数料負けを回避できます。
まとめ
田中貴金属の手数料設定は、ネット証券などと比較すると決して「最安」ではありません。しかし、金の現物取引において最も重要なのは、「売りたい時に、国際基準の価格ですぐに買い取ってもらえるか」という流動性と信頼性です。
手数料は「安心料」であり、偽物を掴まされるリスクや、将来的な換金不能リスクを排除するための経費だと考えるべきです。短期的な売買で利益を出そうとするのではなく、500g以上の地金を長期保有し、資産の「保険」として活用するのが、田中貴金属を最も賢く利用する方法だと言えます。

