大切な時計を初めて手放す際、「安く買い叩かれないか」「専門用語がわからない」「そもそも、この時計は売れるのだろうか」といった多くの不安を抱くのは当然のことです。
この記事は、買取比較サイト「ウリトク」が、そうした初めての方の不安をすべて解消するために作成した「完全ガイド」です。時計の状態別(電池切れ・壊れ・付属品なし)の買取可否から、査定額を最大化する準備、2025年現在の最新相場、そして「店頭」「宅配」「出張」という3つの買取方法の全ステップに至るまで、専門家がリサーチした情報を網羅的に解説します。
【最初の不安を解消】その時計、売れますか? 状態別・買取可否ジャッジ
多くのユーザーが抱える最大の不安は、「こんな状態でも売れるのか?」という点です。結論から言えば、多くの場合、訳ありの時計でも売却は可能です。重要なのは「なぜ売れるのか」という理由を理解し、それを正しく評価できる業者を選ぶことです。
ケース1:電池切れ・止まった時計
クォーツ式(電池式)時計が止まってしまった場合でも、問題なく買取可能です。多くの買取専門店には、電池切れの時計を査定・買取した豊富な実績があります。
ただし、査定額への影響は業者によって大きく異なります。自社に修理工房を持たない業者は、電池交換を外部に委託するため、その交換費用(例:1万円)を査定額から差し引く(減額する)場合があります。一方で、自社や提携の修理工房を持つ優良業者は、電池交換を安価(あるいは無料)で行えるため、減額せず「動いている状態の価格」で買い取ることが可能です。
したがって、電池切れの時計を売る際は、「自社修理工房の有無」が業者選びの重要な比較ポイントとなります。
ケース2:壊れた時計(ガラス割れ・不動・破損)
「ガラスが割れた」「リューズが取れた」「ベルトがボロボロ」といった状態でも、諦めるのは早計です。特にロレックス、オメガ、カルティエといった世界的に需要のあるメジャーブランドの時計は、壊れていても高価買取が期待できます。
壊れた時計が売れる理由は、主に以下の3点です。
- 修理して再販できるから
買取業者は、自社や提携の工房で修理・メンテナンスを行います。例えば、ガラスが割れていても、新品のガラスに交換して再販することが可能です。 - 部品(パーツ)に価値があるから
時計本体が修理不能なほど破損していても、ムーブメント、文字盤、ブレスレットといった各部品には価値が残っています。これらは、世界的に修理用の「パーツ」として需要があります。 - コレクター需要があるから
希少性の高いモデルの場合、コレクターや愛好家が「壊れた状態」のまま収集・研究・修理用として欲しがるケースがあります。
ただし、買取が難しいケースも存在します。修理代が再販価格を上回ってしまう「無名ブランド」の時計や、時計の「顔」であり修理が非常に困難な「文字盤の激しい破損」がある時計は、買取を断られる場合があります。
ケース3:付属品がない(保証書・箱・余りコマ)
保証書(ギャランティカード)や箱を紛失した場合でも、時計本体だけで売却は可能です。しかし、減額の幅はブランドによって大きく異なります。
- ロレックス (Rolex)
最も影響が大きいブランドです。減額幅は数万円から数十万円に及ぶこともあります。ロレックスは世界的に需要が高く、精巧な偽物も多いため、保証書は「真贋証明」および「購入経路の信頼性の証」として極めて重要視されます。特に2020年以降に発行されたICチップ化されたギャランティカードは再発行が不可能なため、その有無が査定額を大きく左右します。 - オメガ (Omega) / タグ・ホイヤー (TAG Heuer)
ロレックスほどの極端な減額にはなりにくい傾向があります。減額幅の目安は5,000円から数万円程度です。これらのブランドは、時計本体の状態や人気モデルであるかが、保証書の有無以上に重視されることが多いです。 - グランドセイコー (Grand Seiko)
影響は比較的軽微で、減額幅は5,000円から2万円程度が目安です。実用性や精度、時計本体のコンディションが重視される傾向が強いためです。 - 【最重要アクセサリ:余りコマ】
見落としがちですが、ブレスレットのサイズ調整で余った「余りコマ」は非常に重要です。コマが不足していると、次に購入できる人の腕のサイズが限定されてしまい、再販価値が下がります。モデルや素材(金無垢など)によっては、コマだけで1万円以上の価値がつくこともあり、査定士はコマの重量(例:1.53g)を計測して価値を算出することもあります。
【査定前の準備】査定額を最大化する3つの秘訣と「やってはいけない」罠
売却を決意したら、次は「少しでも高く売るため」の準備です。査定額アップは、簡単な「足し算(クリーニング)」と、致命的な「引き算(NG行動の回避)」の両方で決まります。
やるべきこと①:自分でできる「簡単クリーニング」
見た目の第一印象は査定額に直結します。査定前に簡単な手入れをしておくだけで、「大切に使われてきた時計」というプラスの印象を査定士に与えることができます。
- 金属ベルト: 隙間に詰まった皮脂や汚れを、使い古しの柔らかい歯ブラシと中性洗剤で優しく洗い流し、水分をよく拭き取って乾かします。
- 革ベルト: 水洗いは厳禁です。専用のクリーナーや柔らかい布で優しく拭き取ります。
- ケース本体: 柔らかいクロスで、指紋や皮脂汚れを拭き取ります。
やるべきこと②:付属品の「完全な」準備
付属品が揃っていることは、その製品の品質証明となり、査定額を押し上げます。以下のアイテムが残っていないか、家の中を探してみましょう。
- 箱(外箱・内箱)
- 保証書(ギャランティカード)
- 余りコマ
- 替えベルト
- 取扱説明書、メーカータグなど
やるべきこと③:自分の時計の「型番」を調べておく
時計の「型番(リファレンスナンバー)」を把握しておくと、LINE査定などの事前査定の精度が上がり、業者とのコミュニケーションがスムーズになります。
- 調べ方:
【厳禁】売る前の「オーバーホール」は損!
「オーバーホール(分解清掃)して完璧な状態にすれば、高く売れるはずだ」という考えは、最も陥りやすい罠です。専門家の結論として、売却前のオーバーホールは絶対にしないでください。
その理由は、「オーバーホールにかかる費用(数万~十数万円)が、査定アップ額を上回ってしまう」からです。
例えば、ロレックスの正規オーバーホールにユーザーが10万円支払ったとしても、買取業者での査定アップ額は5万円程度にしかならず、結果としてユーザーは差し引き5万円の損をしてしまいます。
この価格差が生まれるのは、業者とユーザーの「コスト構造の違い」にあります。ユーザーはオーバーホールを「小売価格」で支払いますが、買取業者は「卸売価格」または「原価(自社修理工房)」で実施できます。
修理やオーバーホールは、売却先の業者が行うべきものです。ユーザーは「そのままの状態」で査定に出すのが、最も経済的合理性が高い選択です。
【2025年最新】時計買取相場と「最高の売り時」
現在、高級時計の買取市場は活況を呈しています。その背景にはマクロ経済の動向があり、2025年現在は「絶好の売り時」と言えます。
なぜ今、買取価格が高騰しているのか?
最大の理由は、2022年頃から続く歴史的な「円安」です。円安が買取相場を押し上げるメカニズムは、「二重の需要」によって説明できます。
- 国内の「代替需要」
円安により、ロレックスなど海外ブランドの「新品定価」が日本国内で高騰しています。そのため、新品を買い控えた層が、状態の良い「中古品」を求めるようになり、国内の中古需要が高まっています。 - 海外からの「仕入れ需要」
円安は、外国人(海外バイヤー)にとって「日本の資産(中古時計)が割安で買える」状態を意味します。その結果、海外バイヤーが日本国内の中古時計を大量に仕入れるため、日本国内の在庫が急速に減少しています。
この「国内需要の増加」と「国内在庫の減少(海外流出)」が同時に発生することで、中古時計の取り合いが起き、買取業者は仕入れ(=買取)価格を大幅に引き上げざるを得ない状況となっているのです。
高騰が期待できるブランド・モデル
- ロレックス: 「デイトナ」「GMTマスターII」「サブマリーナー」といったスポーツモデルが、依然として最高水準の相場を維持しています。
- その他: オメガの「スピードマスター プロフェッショナル」、カルティエの「タンクフランセーズ」や「パシャ」といった定番モデルも、安定した需要があります。
- 今後の予測: 専門業界では、今後も円安傾向が一定期間続くと予想されており、高級時計の相場は「高止まり」が続く見込みです。特に「生産終了モデル」は需要が集中し、さらなる相場上昇の可能性も指摘されています。
【完全ガイド】時計買取の「流れ」を3つの方法別に徹底解説
時計の売却方法は、主に「店頭」「宅配」「出張」の3種類です。どの方法を選んでも、最終ステップで「本人確認書類」の提示が法律で義務付けられています。
全方法共通:法律で必須の「本人確認書類」
古物営業法により、買取業者は取引相手の本人確認と、その記録(帳簿への記載)を義務付けられています。
- 利用できる書類の例
- 運転免許証
- マイナンバーカード(※マイナンバー通知カードは不可)
- パスポート(現住所が記載されているもの)
- 健康保険証(※保険証番号のマスキングが必要な場合あり)
- 在留カード、特別永住者証明書
- 重要注意点
- 必ず「有効期限内」であること。
- 記載されている「現住所」と、買取申込時に記入する「住所」が一致していること。
- (宅配買取の場合)振込先の「銀行口座名義」と、「本人確認書類の名義」が一致している必要があります。
方法①:店頭買取(その場で即・現金化)
店舗に直接時計を持ち込み、その場で査定・売却する方法です。最大のメリットは、査定から支払いまでが最もスピーディで、即日現金化が可能な点です。
- 店頭買取の流れ
- 店舗訪問・受付
- 査定(※下記参照)
- 「お客様カード」への記入、および本人確認書類の提示
- 査定金額の提示と説明
- 金額に承諾した場合、その場で現金支払い(または振込)
- 査定はなぜ時間がかかる?
初めての場合、査定はすぐに終わると思いがちですが、専門的な査定には時間がかかります。査定士は、(1) 傷や使用感、付属品のチェック、(2) 最新の市場相場(為替含む)の調査、(3) 真贋(本物か偽物か)の詳細な検査、(4) 内部手続きなどを並行して行っているためです。
方法②:宅配買取(自宅で完結・非対面)
業者から「宅配キット(梱包材)」を取り寄せ、時計を送付して査定してもらう方法です。自宅で全てが完結し、対面交渉のプレッシャーがないのがメリットです。
- 宅配買取の流れ
- WEB申込: 業者の公式サイトから、宅配キット(無料)を申し込みます。
- 梱包・発送: キットが届いたら、時計、付属品、本人確認書類のコピーを詰めます。着払い伝票で発送するため、送料は無料です。この際、運送保険の有無や上限額(例:最大5,000万円)を確認しておくと安心です。
- 査定結果の確認: 品物が業者に到着後、査定が行われ、結果がメールやマイページで通知されます。
- 承諾・入金: 金額に納得すれば「承諾」の連絡をします。最短で翌日には指定の銀行口座に入金されます。
- キャンセル: 金額に納得いかない場合はキャンセルします(※この時の「返送料」が非常に重要です。後述します)。
方法③:出張買取(高額品・複数点に最適)
査定士が自宅を訪問し、その場で査定・買取を行う方法です。高額な時計や複数点を店舗まで持ち運ぶリスクを避けられるのが最大のメリットです。
- 出張買取の流れ
- 予約: 電話やWEBで訪問日時を予約します。この際、売りたい時計のブランドや点数、状態を伝えます。
- 準備: 売却する時計と、本人確認書類の「原本」を準備します。
- 訪問・査定: 査定士が指定日時に訪問し、玄関先などで査定を行います。
- 支払い: 査定金額に承諾すれば、契約書にサインし、その場で現金支払い、または後日の銀行振込となります。
「ウリトク」が教える!優良買取業者の見極め方
買取比較サイト「ウリトク」として、読者が「おすすめ業者」を自ら判断するための「3つの基準」を提示します。高価買取を実現する業者は、「専門知識(人)」と「修理機能(設備)」という2つの重要な資産を持っています。
基準①:「時計専門鑑定士」が在籍しているか
時計の価値は非常に複雑です。ブランドや状態だけでなく、製造年による仕様の僅かな違い、文字盤の経年変化(焼け)、最新の市場トレンドを理解する「専門知識」がなければ、適正な価格は付けられません。
一般の鑑定士がマニュアルに基づき「減点法」(傷がある、古い)で査定しがちなのに対し、専門鑑定士は時計の価値を「加点法」(この年式のこの文字盤は希少だ)で見ることができます。また、査定価格の根拠を明確に説明できるため、安心して取引ができます。
- THE GOLD (ザ・ゴールド): ベテランの「時計専門査定士」が在籍し、丁寧な説明を行うことを強みとしています。
- KOMEHYO (コメ兵): 年間査定件数39万件(2025年3月末時点)を支える、680人以上の「専門鑑定士」が在籍しています。
- なんぼや: 「バリューデザイナー」と呼ばれる専門スタッフが、時計の修理やメンテナンスの相談まで含めて対応します。
- 銀蔵 (Ginzo): 「ベテラン査定士」と納得いくまで商談できる点を特徴としています。
基準②:「自社修理工房」または「メンテナンス体制」があるか
これこそが、高価買取の「源泉」です。先に解説した通り、自社で安価に修理・研磨・電池交換ができる業者は、その分のコストを買取価格に還元できます。
「壊れた時計」や「電池切れの時計」を適正価格で買い取ることができるのは、この機能があるからです。
- なんぼや: グループ内に「ALLU WATCH REPAIR」という時計修理工房を保有しています。
- KOMEHYO (コメ兵): 確かな研磨技術や、多数の「時計修理専門会社との良好な関係」により、高度なメンテナンス体制を整備しています。
- 銀蔵 (Ginzo): 「自社メンテナンス」により中間コストを削減し、高額買取を実現していると明記しています。
- THE GOLD (ザ・ゴールド): 「自社修理工房」の保有に関する明確な記述は、調査した資料の中では見当たりませんでした。
基準③:口コミと実績(「初めて」の対応はどうか)
特に初めてのユーザーにとって、査定額そのものだけでなく、「接客の丁寧さ」「説明の透明性」「店舗の清潔感」といった要素が、安心感に直結します。
ただし、口コミは主観的であり、しばしば矛盾する情報が含まれるため、読み解き方が重要です。
例えば、KOMEHYO (コメ兵)には「迅速な対応で透明性が高い」という高評価がある一方で、「購入時の半額以下で驚いた」「びっくりするほど安い」といった低評価も存在します。こうした低評価の背景には、「マイナーブランドで買取対象外だった」など、その業者の得意・不得意が隠れている可能性があります。
一つの口コミを鵜呑みにせず、(1) 複数の口コミを見ること、(2) 自分の売りたいブランド(例:ロレックス)の買取実績が豊富か確認すること、(3) 最終的には複数の業者で相見積もりを取ることが失敗しない秘訣です。「なんぼや」には、「初めての買取でドキドキしたが、お店もきれいで良い経験ができた」といった、初めての利用者に寄り添うポジティブな口コミも見られます。
【最重要】宅配買取の「無料査定」に潜む罠
買取比較サイト「ウリトク」として、最も注意を喚起したいのが、宅配買取のリスクです。「査定無料」は当たり前ですが、本当の優良業者を見極めるポイントは「キャンセル時の返送料も無料」かどうかです。
「返送料無料」の重要性
宅配買取では、提示された査定額に納得できない場合、キャンセルする権利があります。問題は、そのキャンセルした時計を「返してもらう際の送料」です。
- リスクゼロの業者: キャンセル料も返送料も「無料」です。ユーザーは一切費用をかけずに、自分の時計の「現在の適正価格」を知ることができます。
- リスクありの業者: 返送料が「お客様負担(着払い)」となります。もし査定額に不満があっても、返送してもらうために送料(例:1,500円)を支払わなければなりません。これは実質的に、返送料を人質に取られ、安い査定額での売却を迫られる「ロックイン(囲い込み)」状態と言えます。
【ウリトク特製】主要業者「宅配買取キャンセル・返送料」比較表
以下は、主要業者の宅配買取におけるキャンセルポリシーをまとめたものです。ノーリスクで相見積もりを取れる業者を一目で見分けられます。
(注:本表は提供されたリサーチ素材に基づき作成しています。最新の規約は、必ず各社の公式サイトで最終確認してください。)
| 業者名 | 査定後のキャンセル料 | 査定後の返送料 | 備考 |
|---|---|---|---|
| なんぼや | 無料 | 無料 | キャンセル料・返送料すべて無料 |
| KOMEHYO (コメ兵) | 無料 | 無料 | 査定結果提示後のキャンセル・返送は無料。 ※査定結果提示「前」の都合キャンセルは顧客負担 |
| 銀蔵 (Ginzo) | 無料 | 無料 | キャンセル時の返送代も無料 |
| バイセル (BuySell) | 無料 | 顧客負担 (着払い) | 査定結果に納得いただけない場合、着払いでの返送 |
| 大黒屋 (Daikokuya) | 無料 | 顧客負担 (着払い) の 場合あり | 「買取対象外商品」の返送は顧客負担との記載あり。(要確認) |
| THE GOLD (ザ・ゴールド) | 不明 | 不明 | 調査資料の範囲では、宅配買取の返送料が無料であるとの明確な記載なし。(要確認) |
結論:初めての時計買取を成功させるための「ウリトク」戦略
初めての時計買取は、不安を解消し、正しい準備と業者選びを行えば、決して難しいものではありません。本ガイドの総括として、成功のための「4ステップ戦略」を提案します。
- ステップ1:準備(セルフチェック)
時計を優しくクリーニングし、箱・保証書、そして特に「余りコマ」を探します。型番を調べ、自分の時計の「身元」を把握します。この際、絶対にオーバーホールには出さないでください。 - ステップ2:市場の確認(売り時の確信)
2025年現在は、歴史的な「円安」を背景に買取価格が高騰している「絶好の売り時」であることを再確認します。 - ステップ3:リスクゼロで「相見積もり」
まずは、比較表で「返送料無料」が明記されている業者(例:なんぼや、KOMEHYO、銀蔵)を選び、宅配買取を利用して「ノーリスクの相場観」を掴みます。 - ステップ4:「専門家」による最終交渉
ステップ3で得た相場観を元に、近隣の「時計専門鑑定士」や「自社修理工房」を持つ優良店(店頭買取)に持ち込み、本交渉を行います。
あなたの時計の価値を最大化するために、「ウリトク」では、専門鑑定士が在籍し、口コミ評価の高い優良業者を比較・検索できます。あなたの「売り時」を逃さず、最高の売却体験を実現してください。

