引越しの準備は、家電・家具・子どもの荷物が同時に迫ってきて、まるでボスラッシュみたいになりやすいです。 そんなときに魅力的なのが「引越し業者に、家電の買取や回収までまとめて頼める」サービスです。 ただし、便利さの裏には買取だと思ったら有料処分だったなどの落とし穴もあります。 この記事では、引越し業者の家電買取の実態を買取・引取・有料回収に分けて整理し、ファミリーが損しにくい判断軸を専門的に解説します。
先に結論です。「まとめて便利」は時間を買うサービスであり、買取額よりも総支出が減るかで判断するのが勝ち筋です。
某バスケ漫画の名言を借りるなら「あきらめたらそこで試合終了」ですが、引越しでは「あきらめたらそこで段ボール同居開始」になりやすいです。
※条件や料金は変更される場合がありますので、申込み前に各社公式ページで最新情報を確認するのが安全です。
まず整理するべき用語です
引越し業者の不用品対応は、同じ「回収」に見えて中身が別物です。 ここを誤解すると、見積もりで会話がすれ違いやすいです。
- 買取:査定額がつき、代金を受け取るか引越料金から相殺される方式です。
- 引取(リユース):値段はつかないが、条件に合えば無料などで引き取ってもらえる方式です。
- 有料回収(処分):処分費が発生する方式です。
特に重要です。 家電リサイクル法の対象は、エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機です。 引越し業者が対応できるのはこの対象品だけというケースもあります。 例えばアート引越センターは、家電リサイクル法対象(テレビ・エアコン・洗濯機・乾燥機・冷蔵庫)のみ引取処分が可能で、それ以外の家財や小物、対象外家電は処分引取ができないと公式FAQで明記しています。
引越し業者に家電買取を頼むメリットです
- 立ち会いが一本化しやすいです。引越し当日に買取品の回収まで進む導線があると、スケジュール管理が楽になります。
- 搬出が楽です。冷蔵庫や洗濯機などを自力で運ぶのは現実的ではないため、運搬と一緒に動かせる価値が大きいです。
- 請求が見えやすいです。買取額が引越料金から差し引かれる方式だと、家計簿上の効果が分かりやすいです。
- 直前まで使えるのが強いです。買取品を引越し直前まで使用できる導線があると、ファミリーの生活が崩れにくいです。
具体例です。 トレファク引越は「引越し当日に出張買取と荷物運搬をまとめて対応する」と案内しており、引越と買取を同時に進める設計です。 またアップル引越センターのFAQでは、引越しと一緒に不要品の引取り・買取に対応でき、買取金額がつかない場合でも引き取りが可能である旨が記載されています。
「まとめて便利」の落とし穴です
落とし穴は「買取のつもりが、処分に着地する」ことです
引越し業者の不用品対応は、実務上「買取→引取→有料回収」の順に条件が厳しくなりやすいです。 つまり、買取にならないと引取、引取も無理なら有料回収へ進むことが多いです。 ここを知らないと、当日に想定外の請求が出やすいです。
落とし穴1:そもそも買取がない会社が多いです
- 日本通運(NX)のFAQでは、不用品(粗大ゴミ)の引き取りは行っていないと明記されています。
- ハート引越センターのFAQでは、不用品処分は取り扱いしていないと明記されています。
- サカイ引越センターは「引越し時の買い取りは一部地域のみ」と明記しています。
落とし穴2:買取基準が想像以上に厳しいです
アップル引越センターのFAQでは、家電の買取基準(原則)として 新品購入金額が税込3万円超、製造年から5年以内などが明記されています。
- 「動くから売れる」ではなく「条件に合うから売れる」になりやすいです。
- 査定に必要な情報(全体写真、メーカー名、型番、製造年)も明記されているため、情報不足だと査定が遅れやすいです。
落とし穴3:見積書にない作業は追加料金になりやすいです
全国消費生活相談員協会(全相協)は、 口頭でベッドの解体・組立てを依頼したのに、見積書に記載がなく、当日に追加料金が発生した事例を紹介しています。
- 見積額が7万2000円で、追加の組立てが1万円と言われた事例です。
- 附帯サービスは別料金になりやすいので、見積書に明記してもらうのが基本です。
落とし穴4:エアコン工事は別契約になりやすいです
国民生活センターの情報誌(国民生活)では、 エアコン脱着込みと説明を受けた後に、ホース不足やガス充塡を理由に2万5千円の追加請求が発生したトラブルが紹介されています。
- 追加工事は引越し作業に含まれず、別の工事契約として扱われる可能性があると説明されています。
- 別契約の契約書を求めることや、取付け工事料金一覧の入手が推奨されています。
落とし穴5:キャンセル料と手付金の誤解です
福岡市の消費生活センターでは、 標準引越運送約款の考え方として、見積料や内金・手付金等を請求しないこと、 解約手数料の上限が前々日20%以内、前日30%以内、当日50%以内であることを説明しています。
落とし穴6:宅配買取はサイズ制限と申込み手順が地雷です
ワットマン(宅配買取)の案内では、 離島を除く全国が対象である一方、3辺合計160cm超は取扱不可と明記されています。 また、申込みなしで送付すると対応できず、返送料が自己負担になる旨も記載されています。
- 大型家具家電は宅配ではなく出張買取が推奨されています。
- キャンセルの返送料は条件付きで負担してもらえる旨もありますが、手順を外すと自己負担になり得るため注意が必要です。
落とし穴7:提携型サービスは情報伝達の確認が必須です
引越しと買取がセットのサービスは便利ですが、実作業が提携先になる場合があります。 その場合、買取品・引取品・有料回収品の区分と、当日の回収対象を紙で残すのが安全です。
- 「当日ついでにこれも」になりやすい家庭ほど、事前に品目表で確定しておくのが安全です。
落とし穴8:「無料回収」の無許可業者は危険です
環境省は、 無許可の回収業者による不法投棄や不適正処理などのリスクを挙げ、利用しないよう注意喚起しています。 また、名古屋市も、 「無料回収」をうたう不用品回収業者の利用を避けるよう注意喚起し、トラブル事例も掲載しています。
落とし穴9:処分費は「積もると痛い」です
買取不可になった家電が家電リサイクル法対象だと、処分費が発生しやすいです。 特に大型家電は「運ぶ費用」が効きます。
数字で見る損得です
差引で請求が下がる実例です(トレファク引越)
トレファク引越の体験レポートには、引越料金・買取金額・差引金額が掲載されています。 「買取額が小さくても、差引で請求が見える」ことが分かりやすいです。
| 体験レポート | 家族構成 | 引越料金 | 買取金額 | 差引金額 |
|---|---|---|---|---|
| CASE-34です。 | 大人2人です。 | 66,600円です。 | 6,600円です。 | 60,000円です。 |
| CASE-25です。 | 大人1人です。 | 45,100円です。 | 11,000円です。 | 34,100円です。 |
| CASE-23です。 | 大人2人 子供1人です。 | 102,500円です。 | 2,500円です。 | 100,000円です。 |
読み替えのコツです。 買取額が数千円でも、粗大ごみの手配・搬出・処分費を考えると「払うはずだった出費」を消せる可能性があるため、体感が大きくなりやすいです。
キャンペーンの条件は見積前に確認するのが安全です
トレファク引越の新生活応援キャンペーンでは、 受付期間が2026年1月10日〜3月31日と明記され、 引越基本料金20%OFF(車両費+人件費)と買取金額20%UPが案内されています。 ただし、他クーポン併用不可や、見積実施後の適用不可などの条件も明記されています。
処分費の具体例です(エディオンの公開料金)
エディオンの家電リサイクル案内では、 対象家電4品目のリサイクル料金と収集・運搬料金が公開されており、掲載料金は2025年4月1日現在と明記されています。 ここを読むと「捨てるだけで結構かかる」が腹落ちしやすいです。
| 品目 | リサイクル料金(税込) | 収集・運搬料金(税込)の例 | 合計イメージの例 |
|---|---|---|---|
| 有機ELテレビ(16V型以上)です。 | 2,970円です。 | 「引き取る品が過去に当社で購入していない」場合に6,600円の例があります。 | 合計9,570円の目安になります(条件で変動します)。 |
| 冷蔵庫・冷凍庫(171L以上)です。 | 4,730円です。 | 「引き取る品が過去に当社で購入していない」場合に7,700円の例があります。 | 合計12,430円の目安になります(条件で変動します)。 |
| 洗濯機・衣類乾燥機です。 | 2,530円です。 | 「引き取る品が過去に当社で購入していない」場合に6,600円の例があります。 | 合計9,130円の目安になります(条件で変動します)。 |
| 家庭用ルームエアコンです。 | 990円です。 | 「引き取る品が過去に当社で購入していない」場合に5,500円の例があります。 | 取り外し工事の有無も含めて確認が必要です。 |
小ネタです。家電は「まだ動くからいける」と言いがちですが、処分費は「まだ動くからこそ重い」ことがあります。重いのは家電だけで十分です。
主要な引越し業者の対応比較です
ここでは「買取があるか」「対象が限定か」を中心に整理します。 同じ会社でも支店や時期で変わる場合があるため、最終確認は見積時が安全です。
| 事業者 | 買取 | 引取(無料回収など) | 有料回収(処分) | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| サカイ引越センター | 一部地域のみです。 FAQで明記されています。 | グループ会社で郵送買取の導線があります。 リユース&買取のサカイがあります。 | 家電リサイクル法対象(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機・衣類乾燥機)は有料引取りの案内があります。 | 粗大ごみ(対象外家電や家具)は自治体の収集を案内し、委任状で引取りできるエリアがある旨も記載されています。 |
| アップル引越センター | FAQで基準を公開しています。 家電は購入3万円超・製造5年以内などです。 | 無料引き取り(リユース)の案内があります。 | 買取不可の場合も有料で引取可能と記載があります。 | 不要品追加の締切が点数で異なるため、当日追加に頼り過ぎない方が安全です。 |
| トレファク引越 | 引越と買取を同時に実施する設計です。 | 公式キャンペーンページで「処分費ゼロで環境にもやさしい」と表現しています。 | 条件次第で有料処分になる可能性があるため、見積で区分の明確化が重要です。 | キャンペーンは見積後適用不可など条件がありますので、先に確認が必要です。 |
| アート引越センター | 買取の案内はありません。 | 対象外家電や家具などは引取不可と案内されています。 | 家電リサイクル法対象(テレビ・エアコン・洗濯機・乾燥機・冷蔵庫)の引取処分が可能です。 FAQで明記されています。 | 対象外を引越当日に出しても受けられない可能性があるため、自治体手配が前提です。 |
| 日本通運(NX) | 買取の案内はありません。 | 不用品の引取りは行っていないと明記されています。 FAQがあります。 | 不用品引取り自体がないため、別手配が前提です。 | 「引越し=不用品も回収できる」の思い込みに注意が必要です。 |
| ハート引越センター | 自社買取の案内は限定的です。 | 家具・家電買取サービスで提携先への導線があります。 | FAQでは不用品処分は取扱いしていないと明記されています。 | 「買取(売る)」と「処分(捨てる)」が別ルートになりやすいです。 |
| アーク引越センター | 大型家電の買取というより、宅配買取(小物中心)の導線です。 | 不用品の買取で、書籍・CD・洋服などを無料ダンボール5箱まで宅配買取できる旨が記載されています。 | 家電リサイクル法対象の処分は別途確認が必要です。 | 「家電を丸ごと買取」ではなく「引越し前に小物を減らす」用途が向きます。 |
| アリさんマークの引越社 | 便利なプランで「一部買取りできる物もある」と記載されています。 | 個別の可否は営業担当確認が前提です。 | 処分品の引取りは有料サービスとして案内されています。 | 確定の買取制度というより「要相談」寄りのため、事前確認が重要です。 |
ファミリー向けの失敗しない手順です
便利さを活かしつつ落とし穴を避けるには、「確認する順番」が重要です。 次の順で進めると、当日の事故が減りやすいです。
手順1:不用品を3色に分けるです
- 緑:高く売れそうな家電です(高年式・人気メーカー・状態良好などです)。
- 黄:売れるか微妙なので、とりあえず査定に出したい品です。
- 赤:買取不可になりやすい品で、処分ルートを先に確保する品です。
手順2:見積もりは「内訳」を書かせるです
見積書に必ず書かせたい項目です。 エアコン脱着、洗濯機取付、ベッド解体・組立、吊り作業、養生、資材追加、 不用品の内訳(買取・引取・有料回収)、当日追加の扱い、キャンセル規定です。
手順3:家電リサイクル法対象は「処分費」を前提にするです
家電リサイクル法の対象は、経済産業省でも説明されています。 対象品は「捨てる=費用が出やすい」ため、売れるなら早めに売る方が総コストは下がりやすいです。
手順4:無許可業者の「無料回収」は使わないです
無許可回収のリスクは環境省が注意喚起しており、 自治体も同様の注意喚起をしています。 「無料」の言葉に弱いのは人間の仕様ですが、ここは強くなってくださいです。
まとめ
私の結論は、引越し業者の家電買取は「お得」より「事故らない」を買うサービスだということです。 ファミリーは時間が足りないため、最高値を追うほど連絡・立ち会い・調整のコストが増えやすいです。 その結果、家族会議が長引き、段ボールだけが増えていく未来になりがちです。
だからこそ、高く売れそうな家電だけ別で相見積もりを取り、 それ以外は引越し動線に乗せて片付けるというハイブリッドが最も再現性が高いです。 そして、見積書の明細と、当日の追加料金の芽を潰すことが、結果的に一番の節約になります。
最後にひとことです。引越しは「荷物を運ぶ」競技ではなく「暮らしを再起動する」プロジェクトです。買取はそのプロジェクトの予算調整ツールだと考えると、判断が速くなります。
参考リンク(公式・公的機関)です
- サカイ引越センター:処分品・不用品(FAQ)
- サカイ引越センター:リユース&買取のサカイ
- アップル引越センター:不要品の買取、引き取り(FAQ)
- トレファク引越(公式)
- トレファク引越:新生活応援キャンペーン(公式)
- トレファク引越:体験レポート CASE-34
- トレファク引越:体験レポート CASE-25
- トレファク引越:体験レポート CASE-23
- アート引越センター:不用品処分・回収(FAQ)
- 日本通運(NX):不用品(粗大ゴミ)は引き取ってもらえますか(FAQ)
- ハート引越センター:不用品は処分できますか(FAQ)
- ハート引越センター:家具・家電買取サービス(提携導線)
- アーク引越センター:不用品の買取
- アリさんマークの引越社:さらに便利なプラン(処分品の引取り)
- ワットマン:宅配買取(条件・サイズ制限)
- エディオン:家電リサイクル(料金例)
- 経済産業省:家電リサイクル法
- 家電リサイクル券センター:リサイクル料金
- 環境省:無許可回収業者を利用しない注意喚起
- 名古屋市:市の許可のない回収業者を利用しない注意喚起
- 全国消費生活相談員協会:見積書にないサービスの追加料金事例
- 国民生活センター:引越した後(エアコン脱着の追加費用事例)
- 福岡市:引っ越し業者とのトラブル(約款の説明)

