【買取業者 徹底比較】ハードオフ・ソフマップ・コメ兵の「独自ポイント戦略」を解説!一番お得なのはどれ?

目次

はじめに:この記事のポイント

この記事では、日本の主要な買取業者が展開する「自社ポイント」キャンペーンについて、その仕組みと戦略を詳しく見ていきます。 これらの取り組みは、単なる値引きではなく、私たち顧客を惹きつけ、リピーターになってもらうための、各社の工夫が詰まった戦略です。

調査の結果、主要3社には戦略的に異なる3つのモデルがあることが分かりました。

  • 「付与型ロイヤルティ」モデル(ハードオフ): 買取成立時にランクベース(1%〜4%)の独自ポイント「エコポ」を付与します。利用を「実店舗のみ」に限定することで、実店舗へのリピート来店を促しています。
  • 「支払代替型ブースト」モデル(ソフマップ): 買取金額の受取方法として、「現金」(例:+5%)よりも「ビック買取マネー」(例:+11%)を選択した場合に、大きなインセンティブの差を設けています。これにより、顧客をグループ内での買い物に誘導しています。
  • 「ハイブリッド・エコシステム」モデル(コメ兵): 「自社ポイント」「提携ポイント」「共通ポイント」の3種類を使い分け、顧客層ごとに最適なサービスを提供しています。特に「KOMEHYOポイントでの買取金額プラス」サービスと楽天ポイントキャンペーンの併用を不可とすることで、リピーターと一般顧客を明確に分けて、サービスのコストを最適化しています。

結論として、成功している自社ポイント戦略は、アプリやクレジットカード、他社ポイントとの交換などと連動させた、会社全体での仕組みとして設計されていることが見えてきました。

なぜ今、買取で「ポイント」が重要なのでしょうか?

現金からポイントへ:お得感の変化

従来、リユース・買取市場で顧客を掴むための魅力は、「現金での買取価格」そのものでした。しかし、市場が成熟し競争が激しくなるにつれて、単純な価格競争は各社の利益を圧迫する消耗戦に陥りやすくなっています。

この課題に対し、先進的な買取業者はインセンティブのあり方を根本的に見直しています。彼らは「現金」という一つの価値基準から抜け出し、「ポイント」という第二の通貨を導入しました。これにより、顧客にとっての「実質的な価値」を高めつつ、同時に自社の戦略的な利益(=顧客のリピーター化)を確保するという、二重の目的を追求する高度な戦略へとシフトしています。

「共通ポイント」と「自社ポイント」の違い

ポイント戦略は、大きく「共通ポイント」と「自社ポイント」に分けられます。

  • 共通ポイント戦略:
    セカンドストリートが採用するPontaポイントや、コメ兵ハードオフが利用する楽天ポイントdポイントなどがこれにあたります。これらの共通ポイントは、数千万人規模の既存会員にアクセスできるため、新しい顧客へのアピール(集客)において絶大な力を発揮します。 しかし、その便利さと引き換えに、顧客の愛着(ロイヤルティ)は各店舗ではなく、ポイントのプラットフォーム(Pontaや楽天)そのものに向かう傾向が強くなります。顧客は「Pontaが貯まるから」セカンドストリートを利用するのであり、他社が同様にPontaを導入すれば、乗り換えのハードルは低いです。したがって、「自社への囲い込み」効果は限定的と言えます。
  • 自社ポイント戦略:
    これに対し、ハードオフ「エコポ」ソフマップ「ビック買取マネー」コメ兵「KOMEHYOポイント」などの自社ポイントは、クローズドな独自の経済圏を作るための戦略的なツールです。その価値は多層的です。
    1. 顧客データの独占: 顧客を囲い込むことは、購買履歴や好みに関するデータの蓄積を可能にします。リユース業界においては、「何を買ったか」というデータに加え、「何を売ったか」という非常に強力な顧客データを独占的に蓄積できます。
    2. 顧客の囲い込み(ロックイン): ポイントの利用先を自社サービスに限定することで、顧客が他社へ流出するコスト(乗り換えコスト)を意図的に高めることができます。
    3. LTV(顧客生涯価値)の最大化: 蓄積したデータを活用し、リピートでの売買を促すことで、顧客一人ひとりが生涯を通じて企業にもたらす価値(LTV)の最大化を図ることが可能になります。

ここでは、この「自社ポイント」を戦略に組み込んでいる「ハードオフ」「ソフマップ(ビックカメラグループ)」「コメ兵」の3社をピックアップし、その戦略の意図を詳しく見ていきましょう。

【ケーススタディ】主要3社の自社ポイント戦略をチェック!

A. ハードオフ:「エコポ」によるランクベースのロイヤルティ構築

ハードオフグループは、独自のポイントシステム「エコポ」を「ハードオフアプリ」と連動させて運用しています。これは、同社のビジネスモデルの根幹である「実店舗」の価値を最大化するために設計された、典型的な「付与型ロイヤルティ」モデルです。

「エコポ」の基本構造

  • 買取(売る時)のインセンティブ:
    「エコポ」は、買取成立時にインセンティブとして「付与」されます。その付与率は一律ではなく、会員ランクに応じて変動し、買取額の1%から最大4%のポイントが貯まります。
  • 購入(買う時)の利用:
    貯まったエコポは、「1pt = 1円」として、全国のハードオフグループ店舗での商品購入時に利用できます。

戦略的なねらい

  1. 実店舗への送客と習慣化(オフライン回帰戦略):
    エコポ戦略における最も重要なポイントは、「エコポが貯まる・使えるのは、お店(実店舗)だけ」というルールです。これは、同社が運営するオンラインモール「オフモール」での利用を意図的に除外している点で、非常に戦略的です。 デジタル時代にあえて「実店舗限定」という強い制約を課すことで、ECと実店舗の競合を避けています。そして、ポイントというインセンティブを使い、顧客の実店舗へのリピート来店を促す強力な動線として機能させています。これは、ハードオフの強みである「宝探し」的な実店舗での購買体験と、常連客コミュニティを維持・強化するための、意図的なチャネル戦略と言えます。
  2. ロイヤルカスタマーの育成(LTV):
    会員ランクは、エコポの累計獲得数(=売買の回数・金額)に応じて「レギュラー」から最高ランクの「OFF MASTER」へと上昇します。ランクが上がるほど買取時の付与率が向上(最大4%)するため、顧客にとっては「ハードオフで売り続ければ、より得になる」という動機付けが生まれます。 これは、すべての顧客に一律のインセンティブ(コスト)をかけるのではなく、最も価値の高いリピーターにリソース(4%のポイント)を集中投下する、効率的な顧客管理戦略です。

施策のハイブリッドアプローチ

ハードオフは、「エコポ」という基本戦略を持ちつつ、他のポイント施策も使い分けています。

  • 共通ポイントの活用:
    『オファー買取』アプリ限定で「dポイント」プレゼントキャンペーンを実施しています。これは、エコポがカバーする「実店舗利用客」とは異なる、「アプリ利用者(=デジタルチャネル)」の獲得・活性化のために、外部の共通ポイントを戦術的に利用している例です。
  • キャンペーンポイント:
    「1000エコポ」を抽選でプレゼントするキャンペーンなども実施しており、これはエコポシステムの認知度向上とアプリダウンロード促進を狙った短期的なプロモーションです。

B. ソフマップ(ビックカメラグループ):「ビック買取マネー」による支払代替型ブースト戦略

ソフマップが採用する「ビック買取マネー」は、ハードオフの「付与型」とは全く異なる、「支払代替型ブースト」モデルです。これは、表向きは「買取キャンペーン」ですが、その本質は「グループ内での資金循環」と「キャッシュフローの最適化」を目的とした、非常に高度な金融戦略です。

「ビック買取マネー」のメカニズム

「ビック買取マネー」は、買取成立時に「付与」されるポイントではありません。これは、買取金額の「受取方法の選択肢」そのものです。

  • 「最大11%増額」の構造:
    「ソフマップの買取の日」(毎週火曜日)において、顧客は買取金額の受取方法を選択できます。
    • 選択肢1:現金 での受取 → 5%増額
    • 選択肢2:ビック買取マネー での受取 → 最大11%増額
  • この設計により、「現金(+5%)」と「ビック買取マネー(+11%)」の間には、6%の圧倒的な「差額(インセンティブ)」が設けられています。合理的な顧客は、この6%のプレミアム(おまけ)を得るために、現金での受取を諦め、「ビック買取マネー」(=グループ内でのみ利用可能な通貨)での受取へと強く誘導されます。

戦略的なねらい

  1. 強力なグループ内「囲い込み」:
    11%増額された「ビック買取マネー」は、ビックカメラコジマソフマップといったビックカメラグループの店舗およびECサイトでのみ利用可能です。これにより、買取によって得た資金がグループ外へ流出することを防ぎ、確実にグループ内での再消費(次の購買)へと向けさせます。
  2. キャッシュフローの劇的な改善:
    この戦略の本当の核心は、お金の流れ(キャッシュフロー)の管理にあります。
    • 顧客が「現金」を選択した場合、企業側は「現金支出」が発生します。
    • 顧客が「ビック買取マネー」を選択した場合、企業は現金を1円も支出する必要がありません
    会計上は、増額分を含めた金額が「負債(ポイント引当金)」として計上されますが、現金そのものは社内に完全に留保されます。高額なデジタル機器の買取などで多額の仕入れ資金が必要となるビジネスにおいて、これはキャッシュフローを劇的に改善する、非常に強力な「金融戦略」です。
  3. 利益の確実な再投資(LTV):
    企業が負担する「11%の増額コスト」は、決して損失ではありません。顧客がこの11%増額されたマネーを利用し、ソフマップやビックカメラで利益率の高い商品(例:中古品、アクセサリー、延長保証)を購入すれば、企業は「11%のコスト」を遥かに上回る「小売利益」を得ることができます。買取から得た収益が、確実に次の販売収益に転換される完璧なループが完成しています。

施策の二重ロックイン

さらに、「最大11%」の増額率は、全ての顧客に一律ではありません。その内訳は、顧客のロイヤルティレベルと「金融商品へのコミットメント」によって細かく制御されています。

  • ソフマップ プレミアムCLUBカード(クレジット版):11%増額
  • ソフマップ プレミアムCLUBカード(ノンクレジット版):10%増額
  • ソフマップポイントカード(一般):5%増額

これは、顧客をグループ内(ビック買取マネー)に囲い込むだけでなく、同時に自社の金融商品(クレジットカード)へと誘導する「二重のロックイン」戦略です。この複雑な取引(買取査定→金額合意→受取方法選択→マネーチャージ)をスムーズに実現するため、買取アプリ「ラクウル」がデジタルウォレットとして機能し、顧客体験の摩擦を最小限に抑えることで、この金融戦略の実行を支えています。

C. コメ兵:「ハイブリッド・エコシステム」の構築

コメ兵は、単一の自社ポイント戦略に依存しません。顧客層と目的に応じて3つの異なるポイント・インセンティブを使い分ける、最も洗練された「ハイブリッド」戦略を採用しています。

戦略1:自社「KOMEHYOポイント」によるロイヤルティ・サイクル

  • 独自のメカニズム(ポイントの「利用」):
    KOMEHYOポイントは、購入時(1pt=1円)と買取時でその価値(機能)が異なります。 コメ兵の独自施策「ポイントで買取金額プラスサービス」は、顧客が*既に保有している*KOMEHYOポイントを、「2pt = 1円」のレートで、買取金額の増額に「利用」できるというものです。このサービスは店舗での買取成立時のみ、1,000ポイント単位で利用可能です。
  • 戦略的なねらい(C2B2Cサイクルの完成):
    これは、ソフマップやハードオフとは全く異なるアプローチです。インセンティブは「ポイント付与」ではなく「ポイント利用」にあります。
    1. 「買う(購入)」 → KOMEHYOポイントが貯まる(1pt=1円)
    2. 「売る(買取)」 → 貯まったポイントを使って、より高く売れる(2pt=1円)
    この設計により、「買う」行為と「売る」行為がKOMEHYOポイントを介して直結します。顧客は、高く売るためにまずKOMEHYOで買う(ポイントを貯める)必要があり、KOMEHYOで買った(貯めた)ポイントを有効活用するためにKOMEHYOで売る、という完璧なC2B2C(消費者から企業へ、企業から消費者へ)のエコシステムが構築されています。ポイントの有効期限が「最終のお買い上げ日もしくは買取り成約日から1年間」であることも、このサイクルを継続的に回すことを促す設計となっています。

戦略2:提携ポイント(タカシマヤFS)による高単価顧客の「獲得」

  • メカニズム(B2B2Cモデル):
    KOMEHYOでの買取金額を「タカシマヤファッションスクエア(TFS)ポイント」で受け取ると、「査定額の最大115%」という高率で交換できます。
  • 戦略的なねらい(B2B2Cの顧客獲得):
    これは自社の「囲い込み」を主目的としません。KOMEHYO(高級リユース)が、タカシマヤ(高級百貨店)という親和性の高い顧客層を持つパートナーの経済圏に対し、買取サービスを提供する「B2B2C」モデルです。 KOMEHYOは、タカシマヤ顧客に「不要な服をTFSポイントに換え、タカシマヤで新しい服を買う」という体験を提供します。これにより、KOMEHYOは自ら多額の広告費をかけて新規顧客(高単価なタカシマヤ顧客)を探すことなく、効率的に「仕入れ(買取)」を行うことができます。 交換したポイントに「付与から5ヶ月以内」「1回のお買い物の合計金額が税込10,000円以上の場合のみ利用可」といった厳しい利用条件が付いていることは、この施策が単なるポイント交換ではなく、「即時かつ高単価な購買をTFS側(パートナー側)で発生させる」ことを強く意図したものであることを示しています。

戦略3:共通ポイント(楽天)によるマス層へのリーチ

  • メカニズム(マス層へのアピール):
    「【要エントリー】買取成立で楽天ポイント3倍」といった、楽天の広範な会員基盤に響く、分かりやすいキャンペーンも同時に展開します。

最大の戦略的ポイント:「施策の排他性」によるセグメンテーション

コメ兵のハイブリッド戦略の核心は、これらの施策を独立させている点にあります。「『KOMEHYOポイントで買取金額プラス』サービスと、本キャンペーン(楽天ポイント)は併用いただけません。」という厳格なルールが設定されています。

この「併用不可」の規定により、コメ兵は顧客に選択を迫ります。

  1. ロイヤルカスタマー(エコシステム内): 戦略1(KOMEHYOポイントでの増額)を選ぶ。
  2. 一見客(エコシステム外): 戦略3(楽天ポイント)を選ぶ。

これにより、コメ兵はロイヤルカスタマーに対して過剰なインセンティブ(ポイントの二重取り)を渡すことなく販促コストを最適化できます。同時に、顧客がどちらのオファーを選んだかによって、その顧客を「ロイヤルカスタマー」か「一見客」かに明確に分類することが可能になっています。

【比較分析テーブル】主要買取業者のポイント戦略

これまで見てきた内容を、比較のためにテーブルに集約します。独自ポイントを持たないセカンドストリートと、戦術的なポイント利用に留まるブックオフを比較対象として加えます。

戦略カテゴリハードオフソフマップ (Bic)コメ兵セカンドストリートブックオフ
ポイントシステム名エコポ (自社)ビック買取マネー (自社)KOMEHYOポイント (自社)Pontaポイント (共通)BOOKOFF期間限定ポイント (自社)
モデル分類① 付与型ロイヤルティ② 支払代替型ブースト③ ハイブリッド・エコシステム④ オープンプラットフォーム⑤ 戦術的(短期)インセンティブ
買取時のインセンティブ買取額の1-4%を付与 (ランク連動)現金(+5%)でなくマネー(+11%)を選択1. 保有Ptを利用して増額 (2:1)
2. TFSポイントで受取 (最大115%)
3. 楽天Pt 3倍 (併用不可)
100円(税抜)で1Ponta付与30点以上&3千円以上で500pt付与
ポイント価値 (利用時)1pt = 1円 (購入)1マネー = 1円 (購入)1pt = 1円 (購入)1pt = 1円 (購入など)1pt = 1円 (購入)
主な利用先自社グループ実店舗のみビックカメラグループKOMEHYO, TFSPonta提携店BOOKOFF
戦略的焦点実店舗リピーター育成
(ランクによるLTV向上)
グループ内資金循環
(キャッシュフロー改善)
(金融商品への誘導)
C2B2Cサイクルの完成
(高単価顧客の獲得)
(セグメンテーション)
マス層へのリーチ
(共通ポイントの利便性)
短期的な再来店促進
(在庫の早期現金化)
ポイント有効期限最終利用から1年最終利用から2年最終利用から1年(Ponta規約に準拠)約2-3ヶ月

戦略的対比:自社ポイントを持たない選択

すべての業者が自社ポイントによる囲い込みを選択しているわけではありません。この「持たない選択」との比較により、自社ポイント戦略の特異性がより明確になります。

セカンドストリート:「Ponta」への完全依存

セカンドストリートは、あえて自社ポイントを持たず、日本最大級の共通ポイントPontaを採用しています。これは「オープンプラットフォーム」戦略です。

  • メリット: Pontaが持つ広範な顧客基盤に即座にアクセスできます。顧客は「Pontaが貯まる・使える」という利便性を理由に来店するため、自社で大規模な販促を打つ必要性が低下します。
  • デメリット(戦略的機会損失): 顧客は「Ponta」に紐付いているのであり、「セカンドストリート」に紐付いているのではありません。囲い込み効果は非常に弱く、顧客データもプラットフォーマー(Ponta)と共有、あるいは依存する形となります。これは、集客力と引き換えに、リピーター化(囲い込み)を戦略的に諦めていることを意味します。

ブックオフ:「期間限定ポイント」による短期戦術

ブックオフも自社ポイントを発行しますが、その活用法はLTV(生涯価値)を狙ったロイヤルティ戦略とは一線を画します。

  • 戦略的なねらい:
    「書籍買取キャンペーン 30点以上の買取成立で500ポイントプレゼント」で付与されるのは、「BOOKOFF期間限定ポイント」です。 資料によれば、2025年6月20日〜27日のキャンペーン(集荷は7月11日まで)で付与されるポイントの有効期限は「2025年9月30日まで」です。有効期限が実質2〜3ヶ月と非常に短いです。
  • 【考察】:
    これは、ハードオフ(最終利用から1年)やコメ兵(最終利用から1年)のような長期的な「ロイヤルティ戦略」ではありません。これは、買取で得た利益(ポイント)を原資に、顧客に「短期的な再来店(再購入)」を促すための純粋な「販売促進」です。 買取で仕入れた在庫(本)を、ポイントが失効する前に(=在庫が古くなる前に)顧客に再販させ、お金の回収を早めるねらいがあると考えられます。

まとめ:結局、どの買取業者が賢い選択?

今回の調査により、買取業者の「自社ポイント」戦略は、単なる値引きではなく、企業のビジネスモデルの根幹(キャッシュフロー、LTV、顧客獲得)に深く結びついた高度な戦略であることが明らかになりました。

成功する「自社ポイント」戦略のヒミツ

  1. 「出口(利用)」の設計が「入口(獲得)」より重要:
    ポイントを「どう使わせるか」が戦略の核心です。ハードオフ(実店舗限定)、ソフマップ(グループ内限定)、コメ兵(2:1レートでの買取利用)のように、利用先に戦略的な「制約」と「インセンティブ」を設けることが、囲い込みとLTV向上の鍵です。
  2. キャッシュフローへの意識:
    ソフマップの「支払代替型ブースト」は、ポイント戦略が販促費(コスト)ではなく、財務戦略(キャッシュフロー改善)となり得ることを示しています。特に高額買取が頻発するビジネスモデルにおいて、このモデルは非常に強力な競争優位性をもたらします。
  3. セグメンテーションと排他性:
    コメ兵が実践するように、「自社ポイント」と「共通ポイント」のキャンペーンは併用不可にし、顧客に選択を迫る「排他性」が重要です。これにより、ロイヤルカスタマーへの過剰なコスト投下を避け、顧客を明確に分類できます。

私たち利用者はどう選べばいい?

  • 低単価・高頻度・実店舗中心(例:古本、雑貨、アパレル)の場合:
    ハードオフの「付与型ロイヤルティ」が向いています。ランク制で長期的なリピート来店(LTV)を育成するモデルです。
  • 高単価・低頻度・デジタル(例:PC、ブランド品、カメラ)の場合:
    ソフマップの「支払代替型ブースト」が魅力的です。10%以上の強力なインセンティブで顧客をロックインし、同時にキャッシュフローを保護するモデルです。

また、ソフマップの「ラクウル」のように、査定からポイント(マネー)受取、残高確認、店舗での利用までが、単一のアプリでスムーズに完結するかも重要なポイントです。使いにくいシステムでは、顧客は複雑なインセンティブ・プログラムから脱落してしまいます。

今後は、蓄積された売買データ(「何を売り」「何を買ったか」)に基づき、「この顧客は次に何を買うか(売るか)」をAIが予測し、最適な買取価格や「あなただけ買取マネー受取で+15%」といった、個人に最適化されたオファーが届く時代になるかもしれません。

よくある質問や疑問

コメ兵、ソフマップ、ハードオフなどの自社ポイントの現金化は可能か?

結論から言うと、自社ポイントを現金化する事は難しいようです。各社ともに下記の目的で自社ポイント運用をしている為です。

ハードオフ: 店舗への来店頻度を上げるため。
ソフマップ: 買取で得た資金を、そのまま新しいPCや家電の購入(ビックカメラグループ)に回してもらうため。
コメ兵: リピーターを優遇し、他社への流出を防ぐため。

自社ポイントをキャッシュレスマネー(PAYPAY)などに変換は可能か?

こちらも上記の理由により、変換は難しいようです。
各社の「経済圏」の壁があるため ポイントビジネスは「囲い込み」の原則に反してしまう為です。

後になって、変換が難しい場合が多い為、ポンタやVポイント自体を付与している業者の場合、あらかじめそういった公共性の高いポイントで特典をうける事をオススメします。

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この記事を書いた人

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※記事は監修人、ライターのリサーチによって、作成されウリトク編集部によって編集されています。

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